D-marina のレンタルボートクラブに入会してみることにしました。

船舶免許

これまでに操船セミナーを幾度か重ねてそろそろ「いくら教わってたところで、わからないものはわからない」という手応えにも似た心境に達して、そろそろ自分で船を借りて操船体験を増やして行くのが良さそうに思って、いよいよレンタルボートクラブの会員になってみることにしました。


小型船舶操縦士の免許を取得してから、これまでに6度に渡って操船セミナーに参加して練習してみましたけれど、前回に参加した 2021年2月6日の操船セミナー のときに「いくら教えてもらったところで、わからないときはわからない」みたいな不思議な納得感を覚えて、そろそろ自力でも船に乗る頃合いのような心地がしてきました。

そうなると、選択肢としては「自分で船を所有する」か「マリーナでレンタルボートクラブの会員になる」かのどちらかが一般的になるかと思うのですけれど、自分で船を所有するとなると、船を購入する料金はもちろん、日々の船のメンテナンスにかかるコストや、船を止めておく場所の利用料金がかなり重くのしかかってくることになりそうです。

何気なく小型船舶操縦士の免許を取った身としては、なかなかそこまで思い切れるものでもなかったので、マリーナでのレンタルボート会員になる方法で話を進めていくことにしました。

会員制またはスポット利用

2021年3月現在に一般的なレンタルボートクラブのスタイルは、入会金を支払ってマリーナと契約した上で、毎月の会費を支払って契約を維持していく感じになっている様子です。そして、レンタルを開始する前に「初回講習」という、基本的な操船方法とそのマリーナ周辺を航行する上での留意事項などのレクチャーを有料で受けて、その上でレンタル開始。レンタル時には船の利用料と使用した分の燃料代が必要になってきます。

中には「スポット利用」と呼ばれる、入会金と月会費が不要なマリーナもあるのですけれど、近場のマリーナを見つけられなかったのと、特に目的なく船に乗る身としては会費がないとついつい先延ばしにして乗らない可能性もありそうな気がして、今回は毎月の会費があることで気分も持続する気がするレンタルボートクラブの会員になってみることにします。

入会にあたって気にしたいところ

そんなレンタルボートクラブに入会するにあたって、最初は船を借りるのに必要な料金程度にしか意識が向いてなかったのですけれど、いろいろ眺めていくにつれて少しずつ、気にしておきたいポイントがわかるようになってきました。

航行可能エリア

利用料金はもちろんなのですけれど、それ以外にも、そのレンタルボートクラブ独自に設定している「航行可能エリア」にも意識を向けておきたい感じがします。目的の場所まで航行できるのか、そこまで行って帰ってくる時間は苦にならないか。

船の免許だけで見れば、2級なら5海里 (9.26 km) で、1級なら無制限ですけれど、そこからさらに船毎に航行区域が制限されて、レンタルボートだとさらにマリーナによって航行可能エリアが制限されてきます。マリーナから近い場所だからといって航行可能になっているとは限らないようなので、行きたい場所が決まっているなら特に、あらかじめレンタルボートクラブのホームページなどからそれを把握しておく必要がありそうです。

立地と交通手段

船をどんな目的で乗りたいかにも依るかもしれないですけれど、マリーナの立地も考慮に入れると良いかもしれません。

たとえば、釣りをする人は荷物が多くなると思うのですけれど、そうでなくても例えばライフジャケットを持参するような場合とか、念のための着替えとか、もしもの備えの道具などを用意すると案外、荷物が多くなったりします。それを踏まえて、電車で行くのか自動車で行くのか、自動車で行くなら駐車場事情も考慮する必要がありそうです。

また、距離的には近くてもレンタルボートの出航時刻ごろにそこまでの道路が混雑しやすいかどうかでも、通いやすいマリーナは変わってくる感じなので、そういったところも踏まえて場所を選ぶと良いかもしれません。

レンタル艇のラインナップ

どんな船が取り揃えられているのかも、気にしておくのも良いかもしれません。目的にあった用途の船があるかどうかもそうですし、利用できる船が何隻あるかも見ておくと、レンタルボートクラブの規模感とか、借りやすさの判断材料になったりとかして良いかもしれません。

マリーナ独自のルール

そのほかにも、船を借り終わった後に掃除が必要なのかどうかや、ライフジャケットの貸出サービスはあるか、それらの利用が有料なのか無料なのか。そんなあたりも気になるところな気がします。

ほかにも用途が明確であれば、シャワールームがあるかどうかとか、子供も乗船して良いのか、行いたいマリンレジャーは許可されているかなど。マリーナによって独自のルールが設定されていたりするようなので、目的にあった使い方ができるかどうかも確認しておくのが良いかもしれません。

今回の候補は「D-marina」または「シースタイル」

そんな感じで探してみていて、今回の候補に挙がったのが、東神奈川にあるマリーナ D-marina と、YAMAHA が全国展開しているレンタルボートクラブ シースタイル の2つでした。

どちらとも、その存在を知ったのは、自分が船舶免許を取得するにあたって通った登録教習所 マリンライセンスロイヤル で実技教習を受けたときに、その教室の壁面に掲載されていたレンタルボート会員についてのチラシがきっかけでした。そして自分の行動圏内にあるマリーナがそのどちらかだったのもあって、今回は両者のレンタルボートクラブを比較して、入会する方を決めることとなりました。

D-marina の特色

まずは D-marina のレンタルボート会員まわりの印象を整理してみます。

こちらのマリーナは、自分が実技教習を受けた場所でもあり、初めて操船セミナーに参加したときの場所でもあって、その後も操船セミナーで2回お世話になっている、馴染みのある場所です。D-marina では、後述するシースタイル会員としても入会可能ですけれど、ここではまずは D-marina 独自の会員について記していきます。

D-marina の利用料金

まず、会員になるための料金ですけれど、2021年3月の時点では、最初に 22,000 円の入会金と初回講習の受講料が必要になるほか、会員になっている間は月額 1,100 円が継続して必要になります。その上で、レンタルボートを借りる毎にその料金と、使用した燃料代が必要になります。

D-marina の航行可能エリア

また、レンタルボートの場合、船で航行して良いエリアがマリーナの独自ルールで決められるのが一般的なようですけれど、D-marina の航行範囲は、現時点では東京湾のほぼ全域(観音崎灯台と富津岬を結ぶラインより北側の全域、ただし一部の航行が難しいエリアを除く)と設定されていました。

現実問題として、借りている時間に行って帰ってくる必要があるので、だからといって隅々まで行けることにはならなそうな気はしますけど、それでも航行範囲が広く設定されているのは、ひとまず船に乗る目的が定まっていない自分にとって都合が良いかもしれません。

D-marina ではトーイングや遊泳は禁止

D-marina のレンタルボートを利用するにあたっては、水上スキーなどのトーイングや、ボートから降りて遊泳するなどは禁止となっていました。もともと、D-marina 近隣の横浜港や京浜運河では、プレジャーボートは他の船舶の安全を妨げるおそれのある遊走をしてはいけない決まりがあるそうで、それがレンタルボートの航行区間全域に拡大されているみたいに捉えておけば良さそうです。

それと、その他の禁止事項として、D-marina のレンタルボートでは安全のため、3歳以下の子供は乗船禁止というルールになっていました。

D-marina では利用後の清掃不要

また、マリーナによっては、船を借り終わった後に掃除をする必要があったりするのですけれど、D-marina のレンタルボートでは、掃除はスタッフさんが行ってくれるようになっていました。 掃除自体はやるならやるで、レンタルボートをたまに借りる身としてはイベントみたいで楽しいかもしれないですけれど、何はともあれお任せできるのはひとつの利点になりそうです。

シースタイルの特色

そして、もうひとつ魅力に感じたのが、YAMAHA のシースタイルです。

こちらは全国展開しているレンタルボートクラブで、さまざまなマリーナが「ホームマリーナ」として加盟している様子です。横浜周辺であれば、ジェイス関東KMC 横浜マリーナ横浜ベイサイドマリーナ葉山マリーナ などなど多数ありますし、北海道から沖縄まで、広くたくさんマリーナがあるのはとても魅力に映ります。

こちらについては以前にも 体験試乗会に参加 して話を聞いたことがあるので、そちらも参考になるかもしれません。

マリーナ毎に初回講習が必要

シースタイルは日本全国にホームマリーナがあるとはいっても、初めて利用するマリーナでは必ず1回、初回講習を受ける必要がある決まりになっているようでした。 初回講習は、そのマリーナとその周辺海域を利用する上での注意事項を学ぶ場として設けられているらしく、そういう機会が用意されていること自体は嬉しいことに思うのですけれど、悩ましいのが、その初回講習の日程がマリーナによって定められているのと、それを受講し終わらないとレンタルボートを借りられないところです。

行動範囲の近隣にあるマリーナであれば、事前に予定を立てて受講しておけば良いものの、旅行先で乗ろうと思ってもそもそも初回講習との兼ね合いで利用が難しかったり、初回講習を受けられてもその分の時間が取られてしまうため、旅行スケジュールの中で活用するのも難しいことがあるかもしれません。それでも、マリーナによっては初回講習を事前に予約しておけば旅行当日の都合の良い時間に合わせてくれたり、講習時間も1時間程度で済ませてくれるところもあるとのことなので、うまくやりくりできれば、遠くのマリーナを訪れて船を借りられるのは大きなメリットになってくれそうです。

シースタイルでの航行可能エリア

シースタイルでも、レンタルボートを利用できる範囲がマリーナ毎に決められている様子です。 そんなシースタイルの航行区域は、東西南北に均一ではない様子で、場所によっては片側の方角に偏っていたり、思いのほか狭かったりする場合もありそうです。先ほど紹介した D-marina では、独自のレンタルボート会員のほかにシースタイル会員を選択できるようになっているのですけれど、シースタイルを選択したときには航行範囲がかなり狭くなったりするようです。

シースタイルでの航行区域は ホームマリーナ のページから、マリーナごとに確認できるようになっていました。

シースタイルの利用料金

シースタイルの月会費は、2021年3月現在は 3,300 円の様子です。それに加えて、初回に限り、入会金 22,000 円と初回講習の受講料が必要になります。また、レンタルボートを借りる毎にその料金と、使用した燃料代が必要になります。

複数のマリーナを利用しようと思うなら、初回講習の受講料はマリーナ毎に必要になってくるものの、入会金は1度だけで済むのと月会費の金額が変わらないところは、行動範囲が広い人には嬉しいところかもしれません。

利用後の清掃など

シースタイルでは、利用するマリーナによっては、船を利用した後に掃除が必要になる場合があるようです。 そういったルールはマリーナ毎に変わってくるようで、そのあたりについてはシースタイルの ホームマリーナ のページから確認できるようになっていました。

今回は D-marina に決めてみる

どちらのレンタルボートクラブにするかは最後までけっこう迷ったのですけれど、今回は D-marina に入会することに決めてみました。

シースタイルは、全国展開しているところも捨てがたいところではあったのですけど、遠くへ出かけて船に乗る可能性が今のところはなかったのもあって、いつに訪れるかもわからないそのときのために 3,300 円の月会費がかかるのは少し負担が大きい気がしたことが決定打でもありました。もしも遠くで船に乗りたいことがあったら、スポット利用ができるマリーナを探すか諦めるか、そんな感じにしようと思います。

それ以外の面では、D-marina の料金が全体的に安くて納得感が高かったことと、個人的にいちばん最寄りのマリーナだったこと、レンタル艇の数が豊富といったあたりが嬉しいところに感じます。駐車場は少し狭くて不安なものの、それでも周辺駐車場よりは安く止められるところも助かるところです。そしてなにより、これまでに船舶免許の教習で2回、操船セミナーで3回、お世話になったマリーナでもあって、そのときに感じた安心感もこちらを選んだ大きな理由だったりもします。

シースタイルと比べれば、出航できる場所が東京湾内の東神奈川を起点とした周辺地域に限られてはきますけれど、しばらくはこちらで船の経験を積んで、その先はまた興味のままに成り行きで考えていけば良いのでしょう。

D-marina に入会する

そうと決まれば、あとはさっそく入会手続きを進めていきます。

自分が D-marina に入会したのは で、この頃は神奈川県で新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が発令されていた頃だったのもあって、D-marina ではなるべく密にならないように、そして外出機会を少なく抑えられるように、工夫を凝らして運営されていたのが印象に残るひとときでした。

申込書の提出へ

今回は緊急事態宣言中だったため、先に電話連絡を入れてから入会手続きを進めていく流れになっていました。そこでまずは電話を入れて、入会の流れを確認します。

入会にあたっては、受付を訪れて申込書に記入、そしてマリーナ側の審査を経て、問題なければ入会完了という流れになるとのことでした。申込書は、自分は以前に D-marina で操船セミナーを受けたときにいただいていたので、それに必要事項を記載してから持ち込むので大丈夫とのことでした。会費の銀行自動引き落としの書類も自宅で記載しつつ、そんな書類一式と、念のため銀行印も持って窓口に向かいます。

今回の緊急事態宣言の間は、申込書を提出した当日に審査を終えて初回講習を受けることも可能みたいだったのですけれど、今回の場合は申込書の提出で1日、そして翌日に初回講習を受ける流れになりました。

入会完了

申込書の提出自体はあっという間に終わって、事前に記載しておいた申込書を受付で手渡し、記入漏れがないかをチェックしてもらい、入会金と直近2ヶ月分の料金支払いをしてそれで完了でした。段取りはそのまま初回講習の日程調整の話になって、都合の良かった翌日の午前中にお願いをして、入会手続きは完了です。

これくらい簡単に入会手続きが進んだのは、もしかすると以前に操船セミナーに何度か参加していたことと、それを事前の電話で伝えていたこともあったりするかもしれません。マリンライセンスロイヤルの卒業生であることも把握してくれていて、マリーナの方から自発的に入会金の割引特典を適用してくれたのも嬉しいところでした。

初回安全レクチャーを受講する

レンタルボートクラブへの入会は無事に終わったものの、D-marina では他の一般的なレンタルボートクラブと同じように、レンタルボートを利用し始める前には「初回安全レクチャー」を受講し終えていなければいけない決まりになっています。

そんな安全レクチャーも、普段は複数人数での定期開催らしいのですけれど、今回の緊急事態宣言発令中に限っては、密を避けるため個別での受講に切り替えているとのことだったので、緊急事態が明けないうちの の午前中でお願いをすることにしました。 受講料は個別受講でも据え置きで、このときは 11,000 円でした。それなりに安くはない値段ではあると思うのですけれど、操船セミナーを何度か受けたりしていると、この値段でもお手頃に感じてくるから不思議です。

そうして始まった安全レクチャーは、これまでの操船セミナーとはまた趣が違って「D-marina でレンタル艇を借りて、出港から帰港までを安全に行うために特化した講習になっている様子でした。 そんな講習を担当してくれたのは、操船セミナーで幾度とお世話になっていた田島さんで、相変わらずの親しみやすさが嬉しいひとときでした。

テキストを用いた講習から

そんな安全レクチャーは、小冊子を用いたテキスト講習から始まりました。

講習室が工事中だったからなのか、今回は桟橋に係留されている船の上での講習です。 その中で、当レンタルボートクラブの約束事を中心に、オンライン予約の仕方や、周辺の海象事情なども含めて、20分ほどで学んでいきます。

ルールは時とともに移り行くとは思うのですけれど、今の時点では次のような感じでした。

航行に関する事項

マリーナ利用に関する事項

禁止事項

海上での講習

マリーナ利用に関する事柄をテキストでひととおり教わったあとは、実際に船を操船しながら航行に関する事柄を教わる時間になりました。

この日の自分は、なぜだか自分が船を操船するとは思っていなかったみたいで、船に乗ることはあるかもとは思ってそれに備えて持ち物などの準備はいちおうしていたものの、それでも「後半は実際に操船しながらのレクチャー」と聞くまでは、心のどこかで操船しないものと思い込んでいた様子です。

そんな後半の操船しながらのレクチャーは、レンタル艇を借りてから実際に出港して、そして安全に帰ってくるまでの事柄に焦点を絞った内容でした。所要時間は今回は1時間ほどでした。

離岸

まずは、レンタル艇を借りて最初のイベントとも言える離岸を実際に体験します。 現在の D-marina でのレンタル艇は、船首を桟橋に立てて垂直に停泊しているところからスタートするのが一般的なようで、そこからの操縦方法を整理すると、次のようになるようでした。

  1. ハンドルを真っ直ぐにした状態で微速後進し、横にあるちいさな桟橋と並行に進む。
  2. 船艇が桟橋から半分くらい出たくらいから、行きたい方向を向くようにハンドルをめいいっぱいに切る
  3. しっかり桟橋から距離をとりつつ、行き足がついたら中立
  4. 行きたい方を向くまでは惰性で辛抱
  5. 安全に前へ進めるところまできたら、ハンドルを真っ直ぐにして微速前進

そんな感じになるようでした。前進して問題ないと判断できるところまではリモコンレバーを前進に入れないようにするのが、大事なポイントになるようでした。

離岸の方法については、さらに初級者向けの方法が D-marina 公式の動画 「D-marina 桟橋から出港するときのコツ」 でも詳しく紹介されていて、これがとても参考になります。ちなみにこの動画の最後でおまけとして難しそうな着岸も収録されていますけれど、普段のレンタルでは免許取得のときにやるような広い桟橋への着岸になるのが普通のようなので心配は要らなさそうです。

航行する中での注意

D-marina からの離岸を終えたら、間近に広がる東京湾を航行していくことになるわけですけれど、その上で気をつけておきたいポイントの説明を受けながら、横浜港をクルージングしていきました。

D-marina にて指定されているデッドスローエリアを微速で航行していきます。背の低い橋を潜るときに気を遣うからお勧めは最微速前進とのことでしたけれど、途中で 1,000 回転程度まででの航行も体験しました。これくらいの速力でのデッドスローエリアの航行は、向かい風で船がなかなか進まないみたいなときにするのが良いようです。

また、ベイブリッジの橋脚ごとに堤防が設置されているそうで、そのうちの一部で背丈が低く、満潮時には水面下に隠れて見えなくなってしまうのだとか。そんな場所を実際に見ながら教えてもらいました。また、そういった岸壁の近くで停泊するときは、比較的丈夫な船首が壁に向くようにして、もしも岸壁に近づきすぎても無理に操船しないでボートフックなどで押して船を離すようにして、プロペラや船体を損傷する事故が起こらないようにするのが良いとのことです。

航行中は水面をよく確認して、ゴミなどの浮遊物があれば避けて通ることも大事になってくるとのことでした。

着岸

横浜港からマリーナに戻ってきて最後に着岸練習を行いました。D-marina での着岸は、通常は離岸のときとは違って横に長い桟橋に止めることになる様子です。船舶免許を取得するときの着岸と同じ感じになるのが嬉しいところでした。

右舷での着岸と左舷との着岸を両方練習しましたけれど、たとえば右舷側からの着岸の場合は、次のような感じで操船していく感じになるようです。

  1. 桟橋や係留中の船から余裕を持って離れた位置から着岸を開始
  2. リモコンレバーを中立にして、桟橋に対して 45° の角度でゆっくり進入
  3. 行き足が止まりそうなら、一瞬だけ前進に入れてすぐ戻す
  4. 右いっぱいにハンドルを切ったら、リモコンレバーを少しの間だけ微速前進に入れる
  5. 舵が効いて船体がリモコンレバーを中立にする
  6. ハンドルを反対側にいっぱいに切って、微速後進
  7. 船の行き足が止まるまで待ってから、中立に戻す

これまでの操船セミナーでの練習もあって、最初の頃よりはだいぶ操船できるようになってきたものの、それでもまだ桟橋に迫ってハンドルを全回に切った後に後退操作をするタイミングが分からなくなりがちな感じがあります。それでも先生は「だいぶ上達している」と評価してくれて「スタッフの人が迎えて待っているのを見て、焦って急いだりしなければ大丈夫でしょう」とのことでした。

D-marina での着岸は、桟橋に船を寄せられさえすれば、あとはスタッフさんがロープで係留してくれるので、これまでの操船セミナーで練習したようなロープワークの練習はなく、これで初回安全レクチャーは終了となりました。

特に注意すると良さそうな事柄

そうして初回安全レクチャーを受け終わってみて、覚えておきたいところが幾つもあったので、その辺りについて少し整理してみることにします。

利用時の大まかな流れ

D-marina の利用の流れとしては、次のような流れを踏む感じでした。

予約

レンタル艇の予約は、インターネットまたは電話にて行っておきます。駐車場は当日に空いていたら利用できる感じで、満車の場合は近隣の有料駐車場を利用することになる様子でした。

受付

受付で、船舶免許とポイントカードを提示して、出航届を受け取ったら、出航届に必要事項を記載します。このとき出航届には、乗船する全員の氏名と連絡先を記載するようにします。そして、制約事項にチェックを入れて、身支度等の準備を整えてから、出航届を持って桟橋へと向かいます。

ライフジャケットを借りたい場合は、受付で申し出て貸してもらいます。

出航前点検

桟橋にいるスタッフさんに出航届を見せると、借りた船へと案内してくれます。そこでスタッフさんと一緒に出航前の点検をして、点検した事項を出航届に記載します。

点検事項はチェックシートに沿ってスタッフさんがちゃんと導いてくれますけれど、やることとしては、船の上からデッキや左右の舷に破損がないかを確認したり、船検証の保管してある場所を教えてもらったり。エンジンをかけて警告音がならないか、燃料メーターは満タンか、冷却水はちゃんと排水されているか、といったあたりを確認します。また、ハンドルを右と左に全回に切って、ステアリングに以上がないかを確認したりします。

出航届をスタッフさんに渡して、これで出航前の手続きは完了です。D-marina の駐車場を利用している場合には、出航届と合わせて自動車の鍵を渡し忘れないようにします。

出航

準備が整ったら、スタッフさんに解らんしてもらって、出航します。周辺の柱や船に注意しながら、微速で落ち着いて後進離岸、まっすぐ進んでも安全になるところに来るまでは、リモコンレバーを前進に入れないように注意します。

帰港

デッドスローエリアの入り口まで来たら、これから戻ることをマリーナに電話連絡します。桟橋にスタッフさんが待機していてくれるので、横に長いメイン桟橋にゆっくり落ち着いて着岸します。係留はスタッフさんが行ってくれます。

着岸したら、桟橋が混まないように手際良く荷物を片付けて、足元に気をつけて桟橋を退出するようにします。

精算

船から降りたら、スタッフさんが船体の確認や使用した燃料量を計る時間を考慮して、身支度や休憩などで15分ほど時間を潰してから受付に行きます。そこでその日のレンタルでかかった費用を支払って終了です。

エンジンにゴミが絡まったときの対応

東京湾では起こりがちらしい、エンジンにゴミが絡まったときの対処法についても教わりました。

ビニール袋などのゴミがプロペラや排水溝に絡まると警告音が鳴るので、そうしたら速やかにリモコンレバーを中立にして船を停船させたら、キーを回してエンジンを切ります。そうしたら船外機をチルトアップして、絡んでるゴミをボートフックなどを使って取り除き、プロペラに損傷がないかも確認した上で、問題がなければ船外機をチルトダウンして、エンジンを再始動します。

船外機を下げるときは、しばらく下げていくと音が変わってゆっくりと下がるようになるので、そこからしっかり下がり切るまで下げるようにします。

エンジンがかからなくなったときの対応

海上でエンジンを停止して再始動しようとしたときに、エンジンがかからない場合の対処についても教わりました。そのような場合は、リモコンレバーが中立になっているかどうか、緊急エンジン停止クリップが外れていないか、その2点をまっさきに確認するのが良いのだそうです。

これらは、エンジンを切って何かをしている拍子に触れてしまうことがよくあるのだとか。船舶免許を取得するときの実技でも習っているはずなのですけれど、いざ海上でエンジンがかからないと焦ってしまいがちらしく、そうなったときには、まずこの2点を思い出して対処みると良いとのことでした。そんなトラブルシューティングも今回はスムーズに対応できて、今回のレクチャーやこれまでの操船セミナーでも実践形式で投入してくる田島さんのおかげで、この辺りはだいぶ身につけられた気がします。

バッテリーについて

ところで船のエンジンを停止するのは、海上にしばらく停船するようなときでも行わないでおくようにとのことでした。船では何かと電気を使っているとのことで、エンジンをかけていないと15分とかでバッテリーが上がってエンジンが始動できなくなったりするそうです。

地震と津波について

津波警報が発令されたときには、沖に出てくる海上保安庁の指示に従ったり、D-marina に指示を仰いだりします。津波のときには基本的に沖へ向かって走ることになるらしいです。

なお、船に乗っていると地震には気づけないらしく、海上での放送などで知ることになるようです。電話連絡も受けられるように、出航中は常に電話が鳴っていることに気づけるようにしておくことも大事とのことでした。

保険適用のされ方に注意

事故を起こしたときの保険適用のされ方には癖があるとのことでした。たとえば、船を浅瀬に乗り上げたとき、たとえそれが1回だけでも、それで船体とエンジンを損傷したりすると、それは2事故とカウントされることになるそうです。

D-marina の保険であれば、事故の際の自己負担額は1事故あたり10万円に設定されているため、事故としてカウントされた数だけ事故負担額が必要になってきます。

事故を起こさないようにするコツとしては、慌てて操船しないこと。たとえば、船が岸壁に寄りすぎてしまったときに慌てて操船しないで、いったん運転席を離れてボートフックで押して壁から離れるみたいな対処が効果的とのことでした。

キャンセルについて

キャンセル料金は、現時点では3日前の17時までなら無料、それ以外は直前までなら 5,000 円、当日キャンセルは全額負担に決められていました。

マリーナ判断による出航停止の場合は当日でも無料になるとのことですけれど、東京湾で出航停止の判断を下すほど荒れることは稀らしく、基本的には天気予報等で予測して、自主的に判断する必要があるとのことでした。

デッドスローエリアの航行

徐行で走らないといけないデッドスローエリアについても丁寧なレクチャーがありました。D-marina 周辺のデッドスローエリアは、西側出入り口がコットンハーバーの辺りまで、東側出入り口が日本製粉の辺りまでと示されていて、このエリアでは引き波を立てないように微速で航行します。

この辺りは係留されている船も多く、引き波を立てるとそれに揺られて船が動いたり、船の上にいた人が転落する事故に繋がったりするため、特に注意して航行する必要があるとのことです。この辺りは狭い通行路でもあるので、基本的には真ん中を航行するようにして、後ろから別の船が来ていても微速を保って航行、行会い船が来たときは気持ち右側を通行してすれ違うように航行する感じが良いとのことでした。

また、このデッドスローエリア内には、マリーナを出てすぐ北側に設置されている頭上のパイプが低いらしく、満潮のときは潜れないことがあるらしいです。そういうときは D-marina から事前に注意するので、それにしたがって航行して欲しいとのことでした。

そういう頭上の低い箇所では、微速でも少し早かったりすると船が少し浮いたり、潜る前に余裕を持って速度を落としておかないと追いついてきた自分の引き波に乗ったりして、頭を擦りやすくなるので注意して航行する必要があるそうです。また、小さな橋などを潜る際には、出船優先で航行します。

帰港するとき

D-marina に帰港するときには、事前に電話連絡を入れてスタッフさんに着岸待機してもらうことになるのですけれど、そのときにもデッドスローエリアが目安になります。デッドスローエリアに入る手前でフェンダーを下ろすなどの着岸準備を整えた後で、D-marina にこれから帰港する旨の連絡を入れてから、デッドスローエリアを航行します。そうするとそれから15分くらいで着岸できる感じになるとのことでした。

まとめ

そんな感じで、1時間20分ほどの初回安全レクチャーでしたけれど、こうしておさらいしてみると、かなりたっぷり大事なことを教えてもらえたひとときでした。

これまでの操船セミナーで教えてもらったことの中から、特に D-marina でレンタルボートを借りて出港から帰港までの間を安全に過ごすための知識に凝縮特化した講習になっている印象で、これから船を借りる身としても嬉しい機会になりました。そんなレクチャーのかたわらで、雑談がてらに「追い波を航行する練習は、運河で他船の引き波を活用できたりする」とか「ヨットは風上を走られるのを嫌がる」みたいな話を聞かせてもらったりしたりしながら、楽しい時間を過ごしつつ、今後はいよいよ、自分で船を借りて練習を重ねる季節になりそうです。

吉村先生との再会

ところでそんな初回安全レクチャーの途中で、自分が実技教習を受けた吉村先生とご挨拶できる機会に恵まれました。桟橋に着けた船上でテキストでのレクチャーを受けているときにちょうど近くの教習艇で法定備品の点検を指導されている吉村先生がいらして、海上でのレクチャーに移る前の空き時間にちょうど先生も手隙の時間になった様子で、ご挨拶と少しばかりのお話を交わすことができました。

教習当時の思い出深い、相変わらずのお元気そうな明るい調子に安心しつつ、やはり 先日の葉山マリーナ にいらしたのも吉村先生で、そのときに軽くご挨拶だけ交わしたことも覚えてくださっていて嬉しく感じてみたり。吉村先生が教習のときに「免許を取ったら船に乗ってくださいね」という言葉がずっと心に残っていて、それで操船セミナーを重ねたりして、こうしてこの日を迎えられたようなものなので、こうしてこの日にしっかりとご挨拶する機会に恵まれて、自分で船を借りられるようになった初日にぴったりの嬉しいスタートとなりました。


これまでの免許を取得するまでの経緯や、これからの操船体験などは順を追って以下に記していくので、興味のある事柄があったらそちらも眺めてみてくださいね。